身長の高い人は発がんリスクが高まるかも…

これは長身の方にはちょっと悲報かもしれません。

女性を対象にした研究ですが、男性にもあてはまるそうです。あくまでも可能性としてということです。今後さらに研究が進むことを期待しましょう。

ちょっと疑問なのは、この理屈を単純に当てはめると、身長の高い欧米人は身長の低いアジア人より癌になりやすいということになります。でも実際にはそんなことはありません。このことからも身長によるリスクの増加は微々たるもので、その他の要因の影響がより大きいと推測できます。

「身長に関わらず、喫煙を避け、適正な体重を維持し、推奨される癌スクリーニング検査を受けることによって癌リスクを軽減できることに変わりはない」ということですので、健康的な生活を心がけましょう。

長身の人は、身長の低い人に比べて癌(がん)を発症するリスクが高いことが英国の新しい研究で判明した。女性では身長が4インチ(約10cm)高くなるごとに、乳癌、卵巣癌、子宮癌、大腸癌、白血病およびメラノーマ(黒色腫)が約16%増加すると考えられるという。研究著者の1人、英オックスフォード大学のJane Green氏によると、これまでの研究から男女ともに同様の傾向が認められているという。

この知見から、20世紀に生じた平均身長の増加(ヨーロッパで10 年ごとに約半インチ[約1.25センチ])が最近の世代における癌の変化に関与している可能性が示されるが、因果関係は明らかにされていない。米国癌協会(ACS)のEric Jacobs氏は、「背が伸びないように努力したり、長身の人が追加の癌スクリーニングを受ける必要はない」と述べ、「身長に関わらず、喫煙を避け、適正な体重を維持し、推奨される癌スクリーニング検査を受けることによって癌リスクを軽減できることに変わりはない」と付け加えている。

医学誌「Lancet Oncology(ランセット腫瘍学)」オンライン版に7月21日掲載された今回の報告では、1996~2001年に英国で実施された「Million Women Study」のデータを分析。登録された約130万人の中年女性は、研究開始時に乳癌スクリーニング検査を受け、身長および体重の情報を含む質問票に回答。被験者はいずれも非メラノーマ性皮膚癌を除く他の癌の既往がなく、平均9年間強の追跡を受けた。身長により5フィート1インチ(約155cm)未満から4インチ毎に、5フィート9インチ(約175cm)以上までの6つのグループに分けた。

全体として、長身であるほどアルコール摂取量が多く、子どもの数が少なく、肥満、喫煙の比率が低く、裕福で活動的である傾向がみられた。このような因子のほとんどと無関係に、身長の高い女性は多くの癌リスクが有意に高く、身長が増えるにつれてリスクも増加した。例外として、喫煙は身長よりも癌リスクに対する影響が強かった。また、過去の10件の研究についてもレビューした結果、ヨーロッパ、北米、アジア、オーストラリアなど世界のさまざまな集団で同様の関連が認められた。

身長には、小児期の食事や健康状態、遺伝子およびホルモンレベルなどさまざまな因子が影響を及ぼしているという。Jacobs氏は、身長と癌リスクの関係を説明する仮説として、身長の高い人は成長関連ホルモンレベルが高く、それが癌リスクの増大をもたらしている可能性を指摘している。「今回の研究は、癌の発症機序を解明する上でも有用なものである」と研究著者らは述べている。

HealthDay News 2011年7月20日